『エレガントパズル エンジニアのマネジメントという難問にあなたはどう立ち向かうのか』を読んでの感想となります。(2024/12/18記載)
本の概要
「人は会社を去るのではなくマネジャーのもとを去る」という言葉がある。マネジメントはあらゆる組織で重要だが、どうするべきか誰からも教わらないことが多く、構造化もされていない。複雑なマネジメントの課題に対してよい解決策を得られるか否かで、チームが満足するか不満を感じるかの違いが生まれる。そして最終的には、企業の成否を左右する。
チーム編成から、士気・成果向上、キャリア形成、プロダクト管理、文化醸成、技術継承、技術的負債、上層部との調整まで、エンジニアリングマネジメントのあらゆる課題について、よりよい解決策への道筋を示す。
引用:
動機
・プロジェクトマネージャーを務める案件のメンバーに対して、もっと彼らの活躍を引き出せるリーディングを行いたい。
・そうした、メンバーに対する評価に関わるため、エンジニアリングマネージャーとしての素養も身に着けたい。
感想
先述の動機に比べると敷居の高い内容も多くあったものの、
参考にしたい内容も多くありました。
メモにとどめておきたいトピックス
- 第2章 組織:機能する組織を作り、維持する
チームには遅延、現状維持、負債返済中、革新の4段階がある。
現状維持以降、チームの成長を引き出すのはゆとりを作ること。
遅延の状態でも、楽観的な雰囲気をはぐくむことで、戦略的に支援することが重要とされている。
ハイパフォーマンスのチームは解体してはいけない。
(受託開発者は肝に銘じたい)
組織的負債。塵ツモで組織に対する信頼は失われていく。
ログラスのQAコタツさんが1on1で抽出した組織的課題はEMやアジャイルコーチに連携して、解決を図るとお話されていたのを思い出しました。
組織品質に対する取り組み。
- 第3章 ツール:変化をマネジメントする手法
エンジニアリングマネージャーにもプロダクトマネージャーの素養が求められるタイミングがある。
問題の発見、選択、検証を繰り返すことで、プロダクトマネージャーに求められるスキル・視点を育む。
戦略とビジョンの合意形成が重要。
戦略は、診断・基本方針・行動という3つの行動からなる。
課題を難しくする制約に正直であることが必要。
ビジョンは局所最適な制約を超えて考えられるようになり、進むべき道を緩やかに方向づける。
ビジョンステートメント、バリュープロポジション、ケイパビリティの明記が重要。
ひとつの領域に2つ以上のビジョンがあるのは、ビジョンがないことより悪い。pmconf2024の1日目でタイミー山口さんが紹介されていたNSMと同様な気もする。
キャリアナラティブについて。
一つ上の役職を上がることがすべてではない。自社でできることでやりたいことを洗い出してアプローチする。
上の役職の人間が必要としていることで、自分がやりたいことを能動的にアプローチする。 - 第4章 アプローチ:問題解決につなげる
マネジメントとしての成長を考えるのであれば、
マネジメント対象となる部下の人数ではなく、複雑かつ重要な領域での成功に責任を持つ。 - 第5章 文化:継続的に取り組んで育成する
インクルーシブな組織を作るためには、機会とメンバーシップを提供する。
機会:評価指標、プロジェクトリーダー、予算の明示、教育プログラム
メンバーシップ:定期イベント、グループ、コーヒーチャット、チームランチ
ポジティブな自由とネガティブな自由がある。
ポジティブな自由:何かをする自由。個人が思い思いに動きすぎること。
ネガティブな自由:何かから免れる自由。規制や制限からの解放。
ポジティブな自由は、誰かのネガティブな自由を奪う。
ネガティブな自由は、対応するポジティブな自由を制限する。
ふたつの自由のバランスを取ることがマネージャーの基本的タスク。
もっと頑張るという信念は無鉄砲なやり方をするプログラマーのヒーローを生むだけ。
彼らは短期間での生産性を高めるが、代わりに周囲の人間の効果が制限される。
長時間労働によりヒーローは燃え尽き症候群になる。
燃え尽きる前に失敗から学び改善する。頑張りすぎない。
…これと同じ話。
まとめ
EMについての本は、『エンジニアリングマネージャーのしごと』、『エンジニアリングマネジャー入門』も読んでいましたが、当初は前2冊と比べ具体的な内容が多く、学ぶより考える要素が多かったように感じます。
まだ自分では関係がないと思ってしまう部分にも、おそらく学ぶ要素は多くあると思うので、その重要性が高くなったタイミングで読み返したい。
…それにしても、ハードワークにアラートを上げる『ヒーローをやっつけ、頑張りすぎるをやめる』は刺さりまくるし、心に刻み込みたい。
参考
役者岩瀬さんによる30分纏め動画もとても分かりやすかったです。