読書メモ。2025年56冊目。
『エンジニアリングマネージャーお悩み相談室』を読んでの感想となります。(2025/7/22記載)
本の概要
エンジニアリングマネージャー(EM)として働いていくうえで、「メンバーに共感できない」「メンバーが指示に従わない」「エンジニアリングスキルが失われる」といった、EMになったからこそぶつかる課題は多くあります。日々、こうした課題と向き合い、頭を抱えることも少なくないのではないでしょうか。
本書は、そういった課題をおたより形式で紹介。実際に課題にぶつかり乗り越えてきた著者が、解決に向けたアプローチをわかりやすくアドバイスします。
本書を通して、EMとしてよりよく生きていくための考え方・心構えを、みなさんの中にインプットしてみてください。
引用:
動機
- emconf参加以降、EMという役割を志向しつつ、自身のPjMという役割との違いにもやもやし、少し学ぶ機会から遠ざかっていた。
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今、プレイヤーも兼ねながらマネジメントに携わることで、改めてマネジメントを俯瞰して捉えなおす必要性を感じている。
- お悩み相談というタイトルからEMの方たちのお悩みを聞くことで自分の課題も捉えなおせないかと思い着手!
自分にとってのエンジニアリングマネージャーについて
自分は、受託企業のPjMとして案件を健全に推進していくうえでメンバー達のマネージャーとして携わっており、自身の担当する案件に参画するエンジニア達の評定に携わっています。
そうした背景から、エンジニアリングマネージャーという役割には興味関心があります。
その一方で、『エンジニアリングマネージャーのしごと』や、『エンジニアリングマネジャー入門』を読んでも、いまいち言葉が浮いてしまい、自分のものとして理解できていない感覚がありました。
そうした中でemconfに参加した際に、その違いは受託企業と事業会社のコンテキストの違いにあるのでは、という思いがありました。
事業戦略と照らしたエンジニアリングについては、自分達の文脈に慣らした整理をしたいし、プレイングマネージャーの話は自分自身の課題としても捉えたい。
その理由をもう少し解像度を上げて理解できたのは、デブサミでの小田中育生さんとログラスEM塩谷さん、テックリード村本さんのセッションでした。
事業会社、特にスタートアップでは、事業戦略やチーム構成が頻繁に変化するため、EMはそれに応じた柔軟なマネジメントが求められる一方、受託PjMは比較的固定された枠組みの中でメンバーと向き合うことが多く、その違いが役割としては大きく異なることに気付きました。
改めて一つの事業で各役割の方たちが有機的に動いていることを感じます。
以前ログラスQAコタツさんが1on1でメンバーのお困りごとをキャッチアップしたら、アジャイルコーチの方やEMの方に相談を〜と言っていたことを思い出しました。
ひとつひとつの役割の方だけでもすごい印象あるのに、総体としてもすごい。
少なくとも、私の携わるプロジェクトと、自社の事業とはわりと流れは切り離されたコンテキストに存在しており、暗黙的にマネジメント対象となるエンジニアを静的なコンテキストのなかで評価・育成する感覚でいたことに気付きました。
恐らく、プロジェクトという領域で行うピープルマネジメントと、事業の中で行うピープルマネジメントとでは、求められる要素が違うのだと思っています。
そうした中で、エンジニアリングマネージャーという役割に魅力を感じつつ、今その領域に大きく踏み込んでも自分には消化しきれない部分が多そうだと感じ、少し距離を置いていました。
ただ、今までマネージャーやイネーブリングチームとして関わっていたプロダクトチームに、4月からひとりの開発メンバーとしても関わるようになり、
マネージャーとしての役割とプレイヤーとしての役割との切り分け方が難しく感じ始めています。
そうした背景もあり、改めてエンジニアリングマネージャーを学びたいと思いました。
感想
文末に本書について「「わかる」(理論)と「できる」(実践)の間に横たわる大きな溝へ橋をかけようとする試み」とあるように、実践の難しさとその解消に向けての考え方から、追体験をするような学びを得ることができる一冊でした。
当時、自分がエンジニアリング本を読んだときに感じた「分かった感」は無く、むしろプロジェクトマネージャーとして感じている難しさと重複する部分からは、大きな気づきを得ることができました。
もちろん、今の自分には少しコンテキストが違う世界の話もありますが、役割の違いから差分に怯み距離を取るのではなく、自分のものと転化できるように学び続けても得るものがあったはずとも思えました。
一冊を通して学んだ部分としては、プレイヤーとしての苦しみとマネージャーとしての責務はちゃんと切り分けて扱い、プロダクトとチームの健全な成長を考え推進していきたいと思いました。
明日から引き続き試行錯誤を続けていきます。
忘れたくないメモ
本書を通じて得た理解や気づきを書き留めたメモです。
特に印象に残ったポイントを振り返ります。
仮説検証による現在地のアップデート
OODAループによって立てた仮説がたとえ誤りだったとしても、誤りだったことが分かったという成果を元手に、すぐに次の手を打つ柔軟さを手に入れられるようになります。(中略)こうして現在地をアップデートさせながら、目的地へたどり着けるよう細かく軌道修正をかけていきましょう。
改めて目的の重要性とそれに対しての失敗を学びに転換する大切さを学びました。
チームでの活動がうまくいっていないときでも、それを目的に対する切り開いた道の一端として取り扱うことで、よりチームが未来に進みやすくなるし、そうしたナビゲートを自分はしたいと思いました。
相互に悩みを吐露
再びプレイヤーにもなった自分にとって刺さる内容でした。メンバーが相互に悩みを吐露し合える・フォローし合える関係性を築くのはなかなか難しいことですが、まずはあなたとメンバーとの関係性を強固にし、安心感を持ってもらった上で、次のステップとしてチーム内での解決を促してみることをおすすめします。
プレイの部分では、不慣れな言語や、離れている間に劇的な変化を遂げたフロントエンドの開発で苦しむところがあり、負い目を感じていました。
ただ、その負い目は自分を防御するためには利用せず、もっとプロダクトやチームを良くして行ける関係を築くことが重要だと思いました。
チームや仕組みによってその人の弱みがカバーされている状態を目指す
各自の強みを伸ばすことは意識できていましたが、弱みは強みで霞ませれば良いぐらいのイメージでいたため、大きな学びとなりました。強みと弱みは表裏一体です。弱みを強みに変えようとするよりはLinter やFormatter を活用して自然と規約を守れている状態を作るなど、CIを整備して自動で指摘されるようにすることで、チームや仕組みによってその人の弱みがカバーされている状態を目指すことを意識して手を打つようにしましょう。
弱みを仕組みでカバーすることは個人間で解消方法について検討し、チームでは暗黙的にでもお互いを推進できる関係性を築きたいと思いました。
チームでの実現は心理的安全性の確立など実現に対して難しく感じる部分もあるけれど、チーム開発を行う上ではマネージャーとしてはここを目指したいと思いました。
なんとかするためのサポートを提供し続ける
ここに書いてあることを実現するために、まずはチームとして何を目的に動いていくかなど共通の志向を持ちたい。メンバーが気づいていない課題や、考慮が甘い部分をチームでカバーできるようにするのもマネージャーの重要な役割です。管理するのではなく、なんとかするためのサポートを提供し続けることで、メンバーは安心して新しい挑戦ができるようになります。結果として、チーム全体の可能性やアウトプットの幅を広げることにつながるでしょう。
チームを前進させるために必要なタスク
仕事を 「マネージャーがタスクをメンバーにお願いし、完了してもらう」という構図として捉えると、どこか「自分がすべき仕事を押しつけている」という後ろめたさが残ることでしょう。しかし、仕事とはそもそもマネージャーがやるべきことを分担するものではなく、チームを前進させるために必要なタスクを、あなたを含む全員で手分けして進めるものだと捉えられれば、お願いすることへの後ろめたさはそれほど感じないはずです。
メンバー同士がお互いのことをよく理解し、率直に本音を言い合えるような関係性
チームでの活動を進める上で遠慮を感じているということは、チームのものとして扱えていないということ。小さな遠慮が、チームから活力だけでなく、機動力をも奪っていきます。そんな状態を防ぐためにも、チームメンバー同士がお互いのことをよく理解し、率直に本音を言い合えるような関係性を作ることが大事なのです。
チームというひとつの有機体として課題を扱えるように意識づけを測りたいです。
方針は決めた瞬間から徐々に風化が始まる
人もチームもプロダクトも事業も変わっていくものだから、過去決めた方針に盲目で従うのではなく、都度都度目的は何か、その実現のために何が重要なのかの議論を重ねたいです。これらは方針を決めた瞬間から徐々に風化が始まるもので、場合によっては手段と目的が入れ替わってしまい、 ユーザーのことを第一に考えることそのものが目的化してしまうこともあります。こうした根本の思いを定期的に振り返ることで、ただの標語からブレない判断軸へと育っていきます。
蛇足
個人的なお悩み
Developers Summit 2025 Summer 2日目でサイン頂けたことが嬉しかったです。
ただ、その数日後にジュースで本を濡らしてしまい、頑張って復旧中です。
Amazonレビュー
自分のように助けられる人はいると思いレビューを。