幡ヶ谷亭直吉ブログ

娘のここねと格闘するエンジニア。

『対話型ファシリテーションの手ほどき』を読んで 〜 行動変化を促す事実質問

読書メモ。2026年6冊目。(2026/1/23記載)
もっとずっと若いころに読んでいたらと後悔する一冊でした。
『対話型ファシリテーションの手ほどき』を読んだ学びをまとめます。

本の概要

対話型ファシリテーションとは、NPO法人ムラのミライが、国際協力の現場で使える実践的なファシリテーション手法として開発した課題発見・解決のための対話術です。この本では、その対話術の初歩を、身近な事例を中心にわかりやすく解説しました。 以下のような悩みを解決したい方にオススメです。 -相手の悩みを解決するのを手伝ってあげたいけれど、どうしてよいのかわからない・・ -相手のことを知りたくていろいろ聞くけれど、本音を語ってくれていないと感じる・・ -問題について話し合っても、話が上滑りしてしまう・・・

引用:

amzn.asia

動機

  • ファシリ研をきっかけにファシリテーションを捉え直す機会を得ている。
  • Newbeeのgaoryuさんの動画から学ぶところが多くあった。

    www.youtube.com

  • その動画内で紹介されていた一冊となります。

本書からの学び

約100ページのとても読みやすい一冊でした。
ただ、その中でとても重く刺さる一冊でもありました。

私は自分が思う答えを言いがちな傾向があります。
それは少し長い経験が生んだ虚栄心や、少し自分に自信が無いことによる承認欲求によるものと思っています。
それが今までのエンジニアリング経験のところどころで良くない結果を生んできました。
結局は独りよがりの短期的な結果しか生むことができなかったと反省しています。
そのたびに少しずつ改善をしてきましたが、その到達点のひとつがこの本にある気がしました。

相手に事実を聞いて行動変容を促す。
相手に働きかける好機を待つ。
相手の動きの結果ではなく、動きが変わることを目的とする。

この3つの内容はとても難しく思えるものの、これらが実現できれば私が自分に感じる弱みを克服できたと言える状態になれるようにも思えました。

凄く難しい内容に思えます。
ただ、少しずつでも実践していきたいと思いました。

忘れたくないメモ

特に自分にとって大きな学びになった内容を書き留めます。

考えを尋ねる

私たちは、「なぜ?」と聞かれるとつい「言い訳」をするようにできているのです。

痛い言葉でした。
そして、なんで今までそれに気づかなかったんだろうと不思議に思いました。
「言い訳」ではなくても、自分が都合に合う形に考えてしまうと思います。
なんとなく、人と会話をするときに「なぜ?」という問いかけは責め立てている気持ちになるため避けていましたが、最後堪えられないときは使っていました。
それは相手に「言い訳」をさせていたのだと反省しました。

事実を尋ねる

一般に、質問をする場合、英語の5W1Hを聞いていくようにするとよいと言われています。しかしながら、5Wのうちの Why は避け、残りの4つ 「When = いつ」「Where =どこで」 「Who =誰が」 「What =何を」の4つに置き換えるよう努めて下さい。中でも一番簡単かつ強力な質問が「いつ?」 というものです。何か相手が問題を語り始めたら、「どうして?」と原因や動機を尋ねるのではなく、「一番最近それが起こったのはいつですか?」、と尋ねます。

事実を尋ねることが重要。
事実を尋ねることで、相手は事実ベースで思考を巡らせる。
結果、事実に即した思考を促すことができる。

思考の幅

「How =どう」質問は、それに対してどうとでも答えられるだけに、相手を戸惑わせたり、確信のない答えを強要したりする可能性が高い、よくない質問の典型と言えます。

「どう?」を多用していました。
「どう?」に対する返信が相手の直近の関心ごとと思い、そこから話を深掘りすることを続けていました。
ただ、揺れやその人の思考に偏ることを意識すべきと気づきました。

一般化された質問

「いつもは」「普段は」「皆は」など、一般化された質問はすべて同じだと考えられます。「〜と思いますか?」 と尋ねられたら当然、私たちは自分の考えを述べようとします。その際、相手に合わせたり、あるいは自分の都合のいいように改ざんしたりしながら答えを作っていきます。

読んで、「まさかそんな」とは思いつつ、それが相手に依存していることに気がつきました。
子供の頃、「皆ファミコン持っているから自分も欲しい」と言っていたことを思い出しました。
私がコミュニケーションを取る人たちは子供ではないものの、聞く内容もファミコンではない。
もっとしっかりコミュニケーションを取れるように、具体的な会話を心がけるべきと気づきました。

行動変化を当事者自らが起こす

対話型ファシリテーションは、簡単な事実質問によるやりとりを通して相手に気付きを促し、その結果として、問題を解決するために必要な行動変化を当事者自らが起こすように働きかけるための手法です。基礎にある考え方は、問題の当事者の「気付き」が「行動変化」のための大きなエネルギーとなるというものです。

私が経験したプロジェクトマネージャーでの失敗は、答えを言って相手に考えさせないことだったんだと改めて気がつきました。
ただ、じゃあ、あの時事実質問でマネジメントできたかというと、自分の未熟さでできなかったと思います。
事実質問には自制の難しさがあると思っています。
日常的に活用し、少しずつ自分の自制心を育てていくべきと思いました。

その余地を十分に残して去る

昔の私であれば、「それではダメでしょう。他の村人ともそういう知恵は共有する必要がありますよね」などと説教がましいことを述べたに違いありません。しかし、 対話型ファシリテーションの原則からすれば、ここから先は村人、つまり当事者の領域です。あとはAさんが考えることですし、それをファシリテートするのは、現地のNGOスタッフの仕事です。その余地を十分に残して去るのが、外部から来たファシリテーターの礼儀というものなのです。

ファシリテーターはコンテンツではなくプロセスにリーダーシップを持つ。
「その余地を十分に残して去る」というのは、そういうことなのかも知れないと思いました。
そして、コンテンツとプロセスに対する理解を持っていないと実現できないとも思いました。
日常的に切り分けで扱えるようになりたいです。

良い時期に適度に突く

外から刺激を与えることはできますが(これがファシリテーション)、変化は常に内側から起こるもの。その信頼と共に「良い時期に適度に突く」ことができたというファシリテーターとしての自己の腕に対する自信がなければ、待つことができず、ついつい突きすぎてしまいます。つまり相手が自分で気付く前に「提案」してしまうのです。

私は自分が気付いた時に突くことをしがちです。
それでは十分な変化を起こせないであろうことを改めて気づきました。
俯瞰して達観して待つ必要がある。
とても難しいけれど、「今が最適なのか」という問いを自分のゲートにしたいです。

一度声に出して言ってしまうと、なかなか引っ込められない

明らかに言い訳と分かることでも、一度声に出して言ってしまうと、なかなか引っ込められないのが人間です。だとすると、わざわざ言い訳を聞き出して、何になるのでしょう。何のために、 言い訳させるための質問をするのでしょうか。どう考えても、そのような質問はしないほうが賢明です。 本当の原因を知りたいのであれば、「なぜ?どうして?」と当人に聞かない、つまり「なぜ?」を使うのを避けるべき、ということです。

拘りが生まれると偏りが生まれる。
偏りは議論の推進力や進む先に良くない影響を与える。
そのことを理解して、「なぜ?」を聞かない。

補足

本日1/23(金)にファシリテーション研究会というイベントで登壇をします。
毎回大きな学びや気づきにつながるイベントのため楽しみです。

kinto-technologies.connpass.com