読書メモ。2026年4冊目。(2026/1/16記載)
昨年からファシリテーションについて見つめ直しています。
今年は改めてファシリテーションとは何かを捉え直したいと考えており、手に取りました。
最大の学びは、ファシリタティブ・リーダーというあり方に対する発見でした。
『ザ・ファシリテーター』を読んだ学びをまとめます。
本の概要
ストーリーを楽しみながら、人と組織を動かし、自分が変わるファシリテーションのスキルとマインドが身につく一冊。主人公は、黒澤涼子という三〇代後半の女性。マーケティング部門のリーダーだった彼女が、畑違いの製品開発センター長に抜擢される。専門知識面でも、年齢でも自分を上回る男性の部下を率い、組織を変えることができるのか……。
引用:
動機
- ファシリ研をきっかけにファシリテーションを捉え直す機会を得ている。
- 実践からの気づきは多いものの、そもそもそれがファシリテーションなのか再学習したいと思っていた。
- 年始の帰省時に地元の古本屋で見つけ購入。
本書からの学び
2004年という22年も前に書かれた本ですが、扱われる言葉に時代は感じるものの、楽しく物語を読み進めることができました。
今の時代でも通用する価値観が描かれており、22年経ってもファシリテーションは重要であり、難しいことであることにも気がつきます。
私がファシリテーションを知り、実践をはじめたのは2019年頃でした。
その頃にこの本を読んで理解できたかと言えば、言葉は理解できるもののいざ実践に移せたかと考えると疑問には思います。
ファシリテーターを特別な存在、特別な役割に感じてしまったのではないかと想像しています。
実際、当時別のファシリテーションの書籍を読んだ記憶はありますが、書かれていることの半分ぐらいを自分とは無関係なことに感じていた気がします。
それは、もしかしたらファシリテーターに求められる『中立』という位置が難しくさせているのかも知れないと思いました。
少なくとも私は仕事を進める上で、何がしかの役割を担っています。
その役割は別の役割とも関連し、大きなチームや組織において、業務を進める上でのひとつの力になっていると思っています。
そのうえで、『中立』という立ち位置が取れないと考えていたと思っています。
今でこそ一時的に自分の担う役割を下ろし、『中立』を担うことはできますが、それでもずっと『中立』であることには難しく感じます。
それだけファシリテーターの役割は特別な役割であると今でも思っています。
ただ、それはファシリテーターの話であり、ファシリテーションの話ではないとも思っています。
今回、自分にとっての大きな学びになったのは、『ファシリタティブ・リーダー』という考え方でした。
自分の役割においてファシリテーションを活用していくことはできます。
自分の実現すべき目的に対してファシリテートしていけることを改めてイメージできました。
忘れたくないメモ
特に自分にとって大きな学びになった内容を書き留めます。
ファシリテーションとは
私は、「人と人とのインタラクション(相互作用)を活発にし、創造的なアウトプットを引き出すもの」と定義したい。チームが課題を共有し、効果的に考えを交流させ、創造的な答えを導き出す。動機が内存化し、自発的で活力に溢れた行動が生まれる。1+1が2以上になるようなポジティブな化学反応が現れる。これが、優れたファシリテーションの効果である。
「創造的な答えを導き出す」ことが重要と考えました。
そのために、「インタラクション(相互作用)を活発」にすることが重要である。
逆に、「創造的な答えを導き出」せなくても、「インタラクション(相互作用)を活発」にすることはできると思っています。
でも、「創造的な答え」とは?と考えることが重要と考えることができました。
人と人とのインタラクションを活発にするには
人間関係につきまとうさまざまなマイナスの感情、不必要な遠慮や配慮を排除し、積極的なプラスの感情を横溢させることが必要である。またチームが同じ波長で思考するための納得性のある議論のフレームワークを提供し、効率的なグループ思考を促すことが必要だ。そのために、ファシリテーションを心得る人たちはメンバーの話をよく聴き、 場を選び、目的を見据えて最適なパスを選択する。
個人的には、「目的を見据え」ることが重要と思いました。
そのうえで、果たして「マイナスの感情、不必要な遠慮や配慮を排除」することは本当に必要なのか考えました。
言葉のあやとも思いますが、「マイナスの感情、不必要な遠慮や配慮」も、目的に向かう上でのストレスの表れだとすれば、丁寧に扱いレジリエンスを促すことが重要な気がしています。
中立
ファシリテーターにとって、フェアであることは大切だ。そのためには、発言を記録しているだけでなく、時には反対の立場に立って、異なる視点から発言を促すことも必要だ。
考えの偏りをできるだけ制御し、当事者の視野を広げることが重要な気がしています。
そのうえで、「異なる」が二項対立だけでなく、別次元からでも視点を促せるようにしたい。
化学反応を促進する触媒
「ファシリテーションというのは、「促進する」とか「容易にする」といった意味の英語ですね。化学になじみのある皆さんには、「触媒のような働き」という説明のほうがピンとくるかもしれませんね。それ自体は反応しませんが、化学反応を促進する重要な助剤ですね。
必ずしも整えるだけが正解だけではなく、その場に刺激を与えることも重要であることに改めて気づきました。
受容懸念
「普通、人間はそういう『受容懸念』を、できるだけ隠そうとします。しかし、実は隠すことによって『受容』を遅らせているのです。むしろ、懸念を言語化し、表面化させることで、解消するほうが近道なのです。解消されると信頼関係が生まれやすくなります」
「なんとなく嫌なこと」を明瞭な状態にできるか。
明瞭にできればお互いに理解ができる気がしています。
お互いに理解ができれば一緒に解消していくことができる。
弱みをさらす
皆さんは、自信満々の人が、結構自分の弱みを自らさらすことに気づいていらっしゃると思います。「あの人は強いから、ああいうことが言えるのだ」なんて言うでしょう。実は、逆なんですね。弱みを開示することで、自信を獲得している、そうすることで自信が得られることを体験的に知っているのです」
弱みとは何か。
今できないこと、知らないことはネガティブなことではない。
性格や傾向も、特質であってネガティブなことではない。
知らないことは知ればよい。出来ないことで必要なことは出来るようになれば良い。
そのうえで、知るためや出来るための時間を取れなかったら、それは対象となるものが自分にとって重要じゃなかっただけかもしれない。
弱みとは何か。
毎日生きていけてることを考えると、そんなクリティカルな弱みは無い気がしている。
そのうえで、自分の傾向を知ることが重要な気がしています。
学びの奨励
何もお金をかけて社外に探しに行かなくても、「ベストプラクティス」は社内にある。問題は、組織が積極的にそれを認め、そこから学ぼうとするかどうかだ。個人的には、木下君や桃さんをロールモデルとして、彼らから学ぼうとしている若手はいるに違いない。しかし、組織としてそれを奨励し、どれだけ学ぼうとしているかが重要だ、とリョウは強調した。
学ぶことは大変だし、時間がかかる。だからこそ、成長できる気がしています。
それを組織として奨励できることは、人を大切にしているということだと思います。
自分のプロジェクトでは学びを奨励したい。
自分たちで考えることによる動機が内存化
SWOTは、機会と脅威という環境要因と、自社の強みと弱点という内部要因を組み合わせた簡単な表を作成するエクササイズだが、完成した表よりは、これを皆で作成するプロセスが重要なのだと、 塩崎は改めて実感していた。書かれた言葉以上に、問題意識が深く共有化される。それを目の前にして議論すると、建設的な意見が増える。同じことでも外部の人間から言われたのでは、反発が生まれるかもしれないが、こうして自分たちが考えれば動機が内存化する。そういう納得効果がSWOTという共同作業の中にはある。この枠組みの中で関係者が共同作業をし、作成する過程が重要なのだと、塩崎は繰り返し思った。
『ユーザーストーリーマッピング』序文の平鍋さんの「書かれたものを投げ合うことよりも、会話を交わすことが重要」という言葉を思い出しました。
私はこの重要性につい最近知ることができましたが、2004年に既に書かれていたことに驚きました。
当時でもSWOTというフレームワークは知っていたはずなのに、こうした効果を知らなかったことに捉え方の重要性を学びます。
オーバーコミュニケーション
言葉だけのコミュニケーションは非常に難しく、危うい。しかし、我々の活動の多くは言葉に頼らざるを得ません。そこで重要なことは、オーバーコミュニケーションです。技術系の方は端的に話をされすぎる傾向があります。正確に言葉を選び、論理的に必要最小限で話す話し方です。それでは、ロゴスとしては正しくても、実際には意思が伝わっていなかったり、印象が薄くて忘れられることが少なくありません。
リモートでの仕事は言葉への依存度が高いです。
そうした時に、言葉の表情が重要であると思っています。
表情豊かなやり取りができるように、場を作ることを大切に考えています。
ファシリタティブ・リーダー
「私はビジネスリーダーです。皆さんをリードし、結果を出すのが私の仕事。私にとってファシリテーションは、そのための道具であって、目的ではありません。もちろん皆さんの言うことをフェアに傾聴しようという意味では、偏見のない中立的な立場で聴く努力をしているつもりですが、プロセスだけでなく、議論の中身にも入っていきます。意見も言います。結果に対する責任をとるのは私ですからね。つまりファシリタティブ、ファシリテーター的ではありますが、厳密にはファシリテーターではないのです。だから塩崎さんに入ってもらって、補ってもらっているわけです」
最近の私のもやもやが言語化された文章でした。
私はプロジェクトマネージャーであり、エンジニアです。
案件の成功とプロダクトの成長に責任を持ちます。
最近はファシリテーターは役割であり、ファシリテーションは手段であると考えるようになりました。
なので、自分がなすべきことのためにファシリテーションを活用する。
SWOTと同様に2004年に言語化されていたことに、気づきのタイミングが重要であることを学びます。
知のグループウェア
「可視化することで思考プロセスを個人の頭の外に出すことができます。そうやって思考プロセスを外部化すれば、グループで知恵を合わせて考えることができます。ファシリテーションは、知のグループウェアなのです」
ホワイトボードツールの重要性を学びます。
私はミーティング中につい癖でエクセルで議論を整理しがちです。
それは個人の思考を留めるには便利ですが、第三者の思考を反映するには不便です。
知のグループウェアを志向できるよう習慣化します。
原動力
我々は社員の行動を変えていかなければいけない。そのために、 これから大きく組織を変え、プロセスを変えていく。しかし、社員の行動を変えられないのなら、組織やプロセスをいじっても混乱するだけ無駄というものだ
現在、仕様駆動開発やアーキテクチャ刷新などプロセスや構造を変える作業に関係しています。
そのうえで、いかに人間がそれを志向して実現していくかが重要と痛感しています。
ファシリテーションの道具箱、QC七つ道具
あくまでモノを考えるための枠組みであって、 マスを埋めると自動的に答えが出るシンキングマシーンではありません。機械的に使うだけで考えようとしなければ何も出てこない。そこを勘違いすると形骸化が起こります。
手段は使う人間次第。
補足
毎回大きな学びや気づきにつながるイベントのため楽しみです。