幡ヶ谷亭直吉ブログ

娘のここねと格闘するエンジニア。

『ワールドトリガー』を28巻まで読んで ~ 登場人物たちのセリフに自分をふりかえる

読書メモ。
ワールドトリガー』を28巻まで読んでの感想となります。(2025/5/1記載)

本の概要

その手に握るのは世界の引き金──

異次元からの侵略者「近界民」の脅威にさらされている三門市。そこに住む少し正義感の強い中学生・三雲修は、謎の転校生・空閑遊真と出会う。遊真の行動に振り回される修の運命は!? 最新型SFアクション!!

引用:

www.shonenjump.com

動機

  • ここ1年ぐらいマンガに夢中になることから離れてしまっている。
  • 読んだことのないマンガに夢中になりたいけどきっかけを掴めないでいる。
  • 先日のふりかえりカンファレンスで『ワールドトリガー』の話題になり着手。

ふりかえりカンファレンスでの『ワールドトリガー』をふりかえる

キーノートの角征典さんの登壇で『ワールドトリガー』が扱われていました。
登壇内ではA級、B級の戦い方について、シングルループ学習/ダブルループ学習、ダブルループ思考/スロー思考と分けて整理をされていました。

kdmsnr.com


また、OSTでもワールドトリガーを主題にした2つのワークショップが開催されました。

私は、『A級になるには?』をテーマにしたワークショップに参加しました。
私を含め多くの方が『ワールドトリガー』未読の中で話を進めていました。
『ブルーロック』の天才/秀才となぞって整理したことを覚えています。

ワールドトリガー』を読んでの感想

1週間で一気に読み終えました。

事前の情報からは、A級とB級の明確な対立構造を想像していましたが、実際にはS級やC級も存在し、単なるランクバトルではない、登場人物たちの人生観が交錯する群像劇に近い作品だと感じました。
外敵に備えて自組織をいかに成長させていくかという大きな視点と、それに立ち向かうためにライバルと切磋琢磨するチームや個人の成長を描いた物語でもありました。

個性的で、物語上でも意味を持つ背景を持った登場人物が多く、さらに組織構造や装備、訓練制度などの設定も細かいため、読み進めながら情報を整理し、理解を深めていく必要がある作品だと感じました。

1週間で一気に読んだ分、味わい切れていない部分も多くあると思っています。

個人の成長やリーダーシップの在り方、戦略や戦術の考え方など、学ぶところの多い作品でした。

忘れたくないメモ

■第35話 木虎藍のセリフ

「ダメで元々」 「負けも経験」
いかにも三流の考えそうなことね
勝つつもりでやらなきゃ勝つための経験は積めないわ

一番最初に刺さったセリフでした。
実際の開発現場でも、「これがダメでもなんとかなる」と思って取り組むのと、「これを実現しないと何も始まらない」と覚悟を持って臨むのとでは、結果だけではなく経験やそれに伴う成長にも大きな差が生まれると感じています。
このセリフを読んだとき、先日の JaSST Tokyo 1日目の後にスタートアップ企業のQAの方々と懇親会で会話をすることで感じたことが言語化されているように感じました。

 

■第37話 風間蒼也のセリフ

はっきり言って弱いなトリオンも身体能力もギリギリのレベルだ
迅が推すほどの素質は感じない
自分の弱さをよく自覚していてそれゆえの発想と相手を読む頭がある
知恵と工夫を使う戦い方は俺は嫌いじゃない

A級、B級の多様性を認めるセリフだと感じました。
個人の強さだけではなくチームとしての強さも扱う作品だからこそ、この言葉には奥行きがあるように思います。

 

■第41話 空閑遊真のセリフ

「人間はけっこう理屈に合わない動きをする」
「理屈より習性とか性格とかを読んだほうがいい場合も多い」
ってむかし親父が言ってた

「人間は理屈で動くもの」という思い込みがあった自分にとって、このセリフは考えを見直すきっかけになりました。
理屈どおりに動くと想定していると、現実がその理屈に合わなかったときに、適応できず批判に陥ってしまう印象があります。
「習性や性格を読む」という視点は、日常的に意識したいと思いました。

 

■第99話 太刀川慶のセリフ

気持ちの強さで勝負が決まるって言っちまったら
じゃあ負けた方の気持ちはショボかったのかって話になるだろ

相手の感情に共感する姿勢は大切ですが、最終的には成果に基づいて判断する意識を持ちたいと思いました。
特に、感情は目に見えないので、自分自身のバイアスや印象に引きずられやすく、感情を重視してしまうと評価が不安定になると気付きました。

 

■第115話  風間蒼也のセリフ

落ちたことをどうこう言うつもりはない
落とされて学んでいくのがランク戦の存在意義だ

犬飼との1対1も完全な悪手というわけじゃない
新しいことをやろうとする姿勢は見えたし成長も感じられた

だが当然三雲以外の人間も日々鍛錬を積んでいる
当たり前のことをやっていては先を行く人間には追いつけない

本当に部隊を勝たせたいなら
「自分の成長」という不確かな要素だけじゃなく
具体性のある手立てを用意する必要があった
隊長としての務めを果たせということだ

今の自分にとって最も刺さったセリフでした。
マネジメントやチームリーダーを担当する一方で、エンジニアとしても第一線で活躍し続けたいという気持ちを持っていました。
しかし、「エンジニアとしての成長」はあくまで自分自身のための成長であり、それだけに注力していると、マネジメントやリーディングという“他者のための役割”が疎かになってしまうということに気付きました。
自分に課された責務を見据え、個人の成長だけでなく、チームの成果や成功をどう実現するかという視点を持ち続けていきたいと思います。 

 

■第228話 水上敏志、三上歌歩、真木理佐のセリフ

『話し合い』で時間使ったうえで成績落とすんは正直避けたかってん

たしか一昨日に木虎ちゃんが似た意味のこと言ってたね
『話し合いがリスクになるケースがある』みたいな

時間を消費して妥協点を探るのが『話し合い』だからね

「話し合い」に対する自分のスタンスを改めて考えさせられました。
最近は「リーディング=サーバントリーダーシップ」という意識が強まり、一方的に物事を決めるようなリードの仕方を避ける傾向がありました。
ただ、不確実性が高くスピードが求められる状況では、全員の合意を目指す話し合いがかえってリスクになることもある、ということに気づきました。
「対話」は重要ですが、それに固執しすぎず、リーダーが責任をもって意思決定を下す判断力も同じくらい重要だと再認識しました。
状況によって使い分けられるように意識したいです。

 

■第238話 空閑遊真のセリフ

対策ってある程度情報が必要になるんだ

こっちも相手も対策がむずかしいなら
守りより攻めに特化したほうが勝ちやすい

相手の意識があちこち散るほど
こっちの速攻は通りやすくなるし
どこの部隊も昨日までの戦闘シミュの経験があるから
「対策しない」って決めてない限り目に入る情報を無視できないと思うよ

「自分が対策しないことの判断」と「相手に対策を強いる施策」はどちらも明確な目的意識により決断されると感じました。
自分の目的を達成するためにどう動くかを戦略的に判断する必要があることを改めて気づきました。

 

■第239話 ヒュースと若村麓郎のセリフ

その作戦使うなら
勝ち点が高い明日の方がいいんじゃないか?
今日それを使っちまったら明日には狙撃型で対策されて…

それでいいんだ
相手が明日狙撃型の数を増やしてくるのが読めていれば
こっちはさらにその対策をかぶせられる

相手の手が読めないなら相手の手を誘導すればいいってことか

早い段階でフィードバックを得て、それを次に活かす姿勢の重要性を強く感じました。
打てる手を早めに打って相手の出方を引き出すことで、自分たちが主導権を握れる。
逆に、もし打てる手を打たず様子見に徹していると、相手の学習が先に進んでしまい、自分たちの打とうとした手が腐ってしまうことでもあると思いました。

 

■第243話 草壁早紀のセリフ

今日の特務シミュは「このアイデアをメインに据えて戦う」と隊長が決めて
方向性を揃えた部隊が勝ってるように見えます

軸にするアイデアを決めてそれを活かすためのアイデアをさらに募る
という形です

逆に全て活かそうとすると
結果的にマイルドな戦術に落ち着いてしまう

お互いに戦術や対策が手探りな状況では
バランス型の戦い方では後手に回ってしまいます

隊員を育てるのが目的なら話は別です
うまくいっても失敗しても経験にはなります

でも目の前の勝負に勝つことが目的なら隊長の責任で戦術を管理するべきです 

リーディングについて、リーダーが決めるかチームで決めるかの二者択一ではないことの気づきになりました。
不確実性の高い状況では、リーダーがある程度責任をもって決定する必要がある。
ただ、ある程度であってすべてではない。ある程度以降はチームで固めていくことが重要であると思いました。

 

■第244話 絵馬ユズルのセリフ

でもオレはランク戦ずっとやってきて思うんだ
B級隊員には『まじめな人』が多いって
負けたら反省する やられたら対策する
そういうのがちゃんとしてるってこと

逆に言えば見えてる負けルートは塞がずにいられない
そういう人が多い気がする
臨時部隊ならなおさらね

二宮さんが言う『リスクを度外視した動き』は
A級のほうがやってくるイメージあるよ
駆け引きのルール自体をねじ曲げてくるみたいな

ふりかえりカンファレンスでも扱われた言葉。
負けルートは塞がずにいられないか、リスクを度外視した動きを取れるか。
チームにおいては前者は他メンバーと補って、後者を高めることが重要と思っています。
ただ、そうした取り組みができるかはメンバーの成長度合いとチームの成熟度にもよると思いました。

 

■第245話 犬飼澄晴のセリフ

自分の頭で考えることと
外に知識を求めることはどっちもバランス良く必要なんだけど
麓郎はかなり外に偏ってるんだよね
いろんな人に助言もらいに行くのはいいんだけど
助言を噛み砕いて受け止めるための器がないんだ

私自身にも刺さる言葉でした。
自分の経験にならない知識は結局はモノにならず消えていくと思っています。

 

■第246話 ヒュースのセリフ

実力とはただの『結果』だ
2人のタイヤキ職人がいるとしよう
どちらの実力が上か?
それを決めるのは『作ったタイヤキが美味いかどうか』だ

言い換えれば実力とは『結果に+の影響を及ぼす能力』の事だ
ランク戦で言えば 『自分の部隊を勝ちに近付ける能力』とも言える

故に実力はいずれ結果に表れる
実力が欲しければ結果を出すしかない
直面した状況下に於いて『結果』を
どれだけ最善に近付けられるかで実力が試される

手段は目的を叶えるための手段にすぎないという教訓として受け取りました。
目的を叶えるための成長であって、結果を成さない実力は無い。

 

■第246話 ヒュースのセリフ

『必要に迫られる』という要素が人を育てる場合は多い
目標に期限が無い場合
失敗を正しく認識できないことがあるという

人は「失った物」を確認することで失敗を認識できる
目標に向けて費やしてきた時間労力信用や評価を失ったと自覚することで
目標の達成が失敗したことを認識できるんだ

目標達成の期限を決めなければ
成功か失敗かの判定を無限に先送りすることができる

「勝つつもりでやらなきゃ勝つための経験は積めない」と同じように、目的に対してどれだけ主体性を持てるかの話として受け取りました。
目的が他人事の場合、いつ達成できるかはそこまで重要ではなく、目的を持つこと自体が目的になってしまうように感じます。
逆に目的が自分事の場合、いつまでに達成すべきかは死活問題になり、その成功失敗は非常に大きな要因になる気がします。

 

■第246話 ヴィザのセリフ

つまり注ぎ込んだ物は成功すれば返ってくるのだから
まだ何も失っていないと思い込むことも可能なわけです

そして期限を決めないということは
すなわち失われる時間の重みに目をつぶるということ

物も時間も失ったことを認識できない場合
現実的な反省や改善は望むべくもありません

これを 『足踏み』と言います

とても痛く刺さる内容でした。
特に目的を持つことが目的化した場合も、それに取り掛かっている間の時間は無駄になります。
そして、その「無駄」を無自覚に許容してしまうことは、人生に対しても主体性を失っている状態だとも言えるのではないかと思いました。

 

■第246話 ヒュースのセリフ

他人の『答え』を集めたところで己の経験にはならない
麓郎がその『何か』を探しているあいだにも
競争相手は『ごく普通の鍛錬』を積んでいる
その現実から目を逸らしてあやふやな飛躍の可能性に期待し続ける
これは典型的な『足踏み』だ

期限の重さや強制力も修と他の人間ではちがってくるはずだ
人はそれぞれ条件が異なる
表面を真似ることはできても中身まで真似ることはできない

これもとても痛く刺さる内容でした。
自分自身も学習を目的化する傾向があったのだと思っています。
目的に対する学習ではない限り、時間の浪費になるのだと気付きました。
他人の成功や表面的な知識に頼っても、それは自分の経験、成長にはならない。
学ぶことを通じて何を実現したいのかがなければ、「足踏み」にすぎないと実感しました。

 

■第246話 ヒュースのセリフ

刻むんだ
目の前の一段を登るために必要な要素を
一段の中でさらに刻んで
自分が登れる小さいステップを作るんだ
その行動を努力と呼ぶ

ここ近年聞いた努力に対する言語化ベスト1位かもしれません。
自分で小さいステップを築けるようにしたいし、
娘に対して小さいステップを示唆してあげられるようになりたいと思いました。

 

■第246話 ヒュースのセリフ

『自転車に乗れる』という事実が示すのは
おまえは元々できなかったことが訓練次第でできるようになるということだ
別に自転車じゃなくても『箸を上手く使える』でもなんでもいい

『できるようになった』という無数の事実を忘れるな
そして自分に『できる』高さになるまで一段一段を刻んでいけば必ず今より強くなれる
そしてそれがおまえの自信に変わる

目的に対して積み重ねた挑戦が結果になったことを認める重要性。
自信があれば更に成長を続けられるし、逆に手元の成功を認めないと成長は持続できないかも知れない。
大人になると、誰かにできるようになったことを教えて貰える機会は少なくなります。
だからこそ、自分自身で成果を振り返り、成長を持続するための視点を持ちたい。

まとめ

ワールドトリガー』のキャラクターたちのセリフを通じて、以下のような気づきや内省が深まりました。

  • 成長について
    • 手段ではなく結果を出す力こそが実力であり、それは目的に対してどれだけ主体性が持てるかで測られる。
    • 期限や制約が人を育てる。目標達成に主体性を持てるかが成長の鍵。
    • 成長や学習それ自体を目的化すると足踏みになる。目的の達成や成果への貢献こそが実力であり、努力もそのための具体的な行動であるべき。
    • 他人の答えをなぞるだけ、漠然とした可能性に期待するだけでは前に進めない。実践を通して自分の手で答えを見つけることが、本質的な学びになる。
    • 成功体験をきちんと確認し、自分で自分の成長を認めることが、さらなる挑戦の自信となる。
  •  リーダーシップについて
    • リーダーシップとは「話し合いか独断か」の二項対立ではなく、責任を持って方向性を決め、チームで補完し合うバランスが重要。
    • 個人の成長は重要だが、リーダーには個の成長だけでなく、チームの成果や責任ある行動が求められる。

  • 戦略・戦術について
    • 「対策しないこと」や「相手に対策を強いること」も、目的に基づく主体的な判断である。

    • 試行を先送りせず、早く仕掛けて早く反応を得ることが次の手につながる。守りよりも攻めの姿勢が、先に情報を得て改善する流れを生み出す。

登場人物たちのセリフの濃度が高く、自分自身の経験と照らした解釈ができるからこそ彼らが置かれている状況にリアリティを与えているのだとも思いました。
29巻以降も楽しみです。