読書メモ。2025年6冊目。
『新版 思考の整理学』を読んでの感想となります。(2025/1/19記載)
本の概要
『思考の整理学』は1983年に「ちくまセミナー」というシリーズの1冊として刊行し、1986年に文庫化しました。2007年までの21年間で16万部のロングセラーでしたが、2007年に岩手県盛岡市のさわや書店で、当時店員だった松本大介さんが作成した「もっと若いときに読んでいれば……」というコピーの手描きPOPをきっかけに、再び注目を集めます。2008年の東大(本郷書籍部)・京大生協の書籍販売ランキングで1位を獲得したことから、〈東大・京大で1番読まれた本〉のフレーズが生まれ、2009年には累計発行部数が100万部を突破しました。以降も歴代の東大生・京大生が根強く支持し続け、現在290万部を突破し、時代を超えて読み継がれるベストセラーとなっています。
引用:
動機
・当書を何年か前から気になっていた。
・昨年のどこかのカンファレンスのセッションで紹介されており読みたい熱が再燃。
・年明け地元のイオンで新版見つけて、今年はやみくもなインプットにしないようにとゲット。
感想
自分が生まれた1983年と同年に発刊されたとは思えないほど古びていない一冊。
40年ぐらいの月日で人間を取り巻く環境は進化しているけど、人間自体はそうそう変わらない、といったことなのか。
改めてアウトプットを通じた思考の整理の重要さを学びました。知識の純化を意識したい。
一番の発見はコンテキストの捉え方かも知れない。
『揃える』ことにフォーカスしてしまいがちだったけど、改善するや変えるも意識したい。
忘れたくないメモ
■グライダー能力と飛行機能力
人間には、受動的に知識を得るグライダー能力と、自分でものごとを発明・発見する飛行機能力がである。両者はひとりの人間の中に同居し、グライダー能力をまったく欠いていては、基本的知識すら習得できない。しかし、新しい文化の創造には飛行機能力が不可欠である。情報社会である現代において、グライダーにエンジンを搭載することを考える必要がある。
■教えること
学ぼうとしているものに、惜気なく教えるのことは賢明ではない。じらせておいて、やっと教える。本当のところはなかなか教えない。そうすることで、学ぼうとしているものは、自分で新しい知識、情報を習得する力をもつようになる。
■学校での数学
数学は思考力をつけるが、受動的である。問題そのものは他か与えられたもので、自分で考え出したものではない。自分で問題をつくり、それを解くという数学は、普通学校では一度も経験することなく終わる。
■無意識の時間を使って考えを生み出す
まず作品を読む。感心するところ、違和感をいだくところ、わからない部分を素材とする。テーマとなるアイディア、ヒントを異質なところからもってき、酵素とする。化学反応が起こるまでしばらくそっとして寝させる。
■ひとつだけでは、多すぎる
ひとつだけだと、あとがない。こだわりができると、妙に力み、頭の働きの柔軟性を欠く。代りがあると余裕が生まれる。余裕が生まれるとテーマの方から近づいてくる。
■テーマの融合
ありきたりのもの同士を結び合わせても、新しいものになりにくい。一見、到底一緒にできないような異質な考えを結合させると、奇想天外な考えになる。
■思考の純化
思考の整理には、平面的で量的なまとめではなく、立体的、質的な統合を考える必要がある。いくらたくさん知識や思考、着想をもっていても、それだけでは第二次的思考には昇華しない。量は質の肩代わりをしない。低次の思考を、抽象のハシゴを登って、メタ化して行く。ひとつひとつの着想である第一次的情報を、他の思考と融合することで高い抽象性に向けた質的変化を起こし、第二次的情報にする。一次から二次、二次から三次へと思考を整理して行くには、寝させて、化学的変化がおこることを待つ。化合したものが、それ以前の思考に対して、メタ思考となる。
■知的個性
いくら忘れようとしても、その人の深部の興味、関心とつながっていることはいつまでも残る。忘れてよいと思いながら、忘れられなかった知見によって、ひとりひとりの知的個性は形成される。
■コンテクストの捉え方
ひとつひとつのテーマの卵はそのコンテクストに包まれて、新しい展開を妨げられることもある。人間もコンテクストで自己規定をしており、周囲との関係で自分の役割をはっきりさせる。多年生の植物でも、あまり伸びのよくなかった木が、植えかえたら、見違えるほどにすくすくのびることがある。
■アウトプットの効用
頭の中で考えているだけではうまくまとまらないことが、書き進めば進むほど先が見えてくる。あらかじめ考えてもいなかったことが、ふと頭に浮んでくることもある。書きなおすとさらに純化する。ひとに話すことや、書いたものを声に出すなど、なるべく多くのチャンネルをくぐらせることで、思考は整理が進む。
■知識の集積
本に書いてなくて有用なこと、生活の中で見つけ出すまでは、だれも教えてくれない知識がどれくらいあるか知れない。耳学問などによる断片的な知識を散らさず、関連あるもの同士をまとめておく。
■思考の体系をつくり上げる
個々の経験、考えたことを、一般化し普遍性の高い形にまとめることで、自己の経験と知見、思考を統率させる。関心、興味の核をはっきりさせ、その核に凝集する具体的事象、経験を一般的命題に昇華させる。そうした思考が相互に関連性をもつとき、その人の思考は体系をつくる方向に進む。
■表現の生命を不朽にする絶対条件
筆者の意図がそのままそっくり認められて古典になった作品、文章はひとつも存在しない。収斂的読書は、作者、筆者の意図というのを絶対とし、それに到達するのを目標とする。それに比して、筆者の意図とも衝突しても自分の新しい解釈を創り出して行くのが、拡散的読書である。拡散作用は表現の生命を不朽にする絶対条件であり、拡散的読みによって古典は形成される。
■ものを知ることでの不自由さ
知識が増えるほどものを考えない悪循環が生じ、“知識の量”と“思考の力”が反比例していく。ものごとをたくさん知ることで、自由な考えというものが生まれにくくなり、クリエイティブでなくなる。逆に、物を知らない人はいちいち自分の頭で考えて問題を解決するほかない。物を知らない人のほうが、新しいことを考えるのに優れている。